大好きな家族と…|ある日の看取りから

こんにちは。特別養護老人ホームです。
8月15日に投稿したブログ「スイカの果汁|ある日の看取りから」  では、看取りの中の「食(食べること)」に焦点を当てましたが、今回は「絆(人と人とのつながり)」をテーマにお届けします。


 

いつも和やかな空気で周りを包んでくださるご利用者。
優しい笑顔が素敵で、大好きなフルーツを頬張る姿はとても幸せそうです。

しかしある頃から、体調が優れず少しずつ体力が落ちてきてしまいました。

「病院の白い天井を見て過ごすのはかわいそう… たくさんの人に話しかけられて過ごして欲しい。」
そのような思いから、ご家族は施設での看取りという最期の過ごし方を選ばれました。

そのうち徐々に食事が入らなくなり、お好きなフルーツを食べることにも、すごく力が必要になってきました。

ある日、京都市内にお住まいのごきょうだいが会いに来てくれることになりました。
「今日は、妹さんと弟さんがお見えになりますよ!」
お部屋の窓から、秋らしくなってきた高く青い空を見ながら嬉しいニュースをお届けすると、「うん。」と微かな声で答えてくださり優しく微笑まれました。
姪っ子さんも一緒にお見えになり、あたたかくて賑やかな尊い時間…

ごきょうだいや息子様、みなさんが手を握り声をかけられ、たくさんの温もりを感じ、心安らかに過ごされた優しく穏やかな時間は、愛にあふれ、きっと生きる力になったはずです。

ご家族のことが大好きで、どんな時もみなさんのことを思っていた優しいお母さんであり、おばあちゃんであり、お姉さん。その優しさは、きっと伝わったことでしょう。

施設での看取りの日々の中で、時には辛そうな姿を見守らなければならない事もありました。そんな時ご家族は、心揺らぎ交錯されながらも、静かに寄り添いながら、ゆっくりと受け止めていかれたのです。

携わるたくさんの思いがそこにあり、「少しでも安らかで穏やかな時間を送ってほしい…」と、みんながそう思いながらケアに臨みました。看護師、栄養士、調理師、理学療法士、相談員…たくさんのサポートもあり、最期のときまでその方を尊び、支えることができたのだと思います。

看取り介護は、決して特別なことではなく、その人を大切に思い、生きることを支える日々の関わりの先にあるケアなのでしょう。

「あなたがいてみんな幸せだった。安らかにね」
隣のお部屋に暮らす方が、お別れのときにかけられた言葉には、深い感謝の気持ちが詰まっていました。

季節は移ろい、外の景色はすっかり秋色になりました。

今頃、空の上からみんなを見守ってくれているかな?
ここで一緒に過ごしたみなさんと、大好きなスイカやブドウを食べながら…

ここ満寿園での生活が幸せで豊かな時間でありましたように、と願っています。

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